安易に治療しないでほしい、セラミッククラウン



2019423日、フジテレビ系列にて「レディース有吉」という番組が放映されました。「女性が気になる歯のウワサ徹底解明スペシャル」という内容です。


矯正歯科やホワイトニングなどを紹介するほか、見た目を改善するためにかぶせ物・詰め物をするといった美容診療についても触れていました。



この写真には「セラミッククラウン」といったテロップが出ています。「クラウン」は、かぶせ物という意味を指す言葉です。頭にかぶせる王冠(crown)が、語源となっています。また「セラミック」は、陶磁器の原材料としても知られている、人工の石材です。歯の色に近く、強度もある事から、この写真のようなかぶせ物に使われているのです。



大きく歯を削れば
痛みを生じます


写真を改めて見ると、これほど天然の歯を大きく削るのか…と驚かされます。歯の表面を覆っているエナメル質はおろか、その内側にある象牙質まで削っていることが分かります。象牙質がむき出しになっていれば、そのさらに内側にある神経へ刺激が伝わりやすいため、さまざまな原因で歯が痛くなることも考えられます。



痛みが治まらなければ
神経を抜くことになります


痛みが緩和されない場合は、患者さんの了解を得たうえで、神経のある場所…歯髄(しずい)を抜いてしまいます。痛みは感じにくくなりますが、リスクも生じます。歯髄の中には、神経のほかに毛細血管もあり、歯へ酸素を送っています。歯髄を抜いてしまえば、歯へ酸素が行き届かなくなり、歯は弱っていきます。

こちらは、福山歯科医院のHPです。歯髄・神経・毛細血管について、分かりやすく説明されています。 

神経を失った歯は
折れたり抜けたりする
場合があります


高齢になってから、以前神経を抜いた歯が折れてしまった、抜けてしまったという話を聞きますが、これらは歯へ酸素が送られなくなり、枯れた木のような状態になってしまったことが原因だと思われます。したがって、セラミッククラウンをかぶせていようとも、神経を抜いてしまえば、歯が折れやすくなる、抜けやすくなるといったリスクは強くなります。

見た目を改善したいがためにセラミッククラウンをかぶせたのに、歯そのものが損失してしまうとなれば、元も子もありません。入れ歯やインプラントを施すにしても、相当の費用が発生します。その費用は、歯科医院の負担ではなく、患者さんの全額負担となる場合がほとんどでしょう。

セラミッククラウンは、リスクの高い治療である…そのことをしっかり説明してくれる歯医者さんもありますが、きちんと説明をせずに治療へ進んでしまう歯医者さんもいるようです。さらに言えば、治療後における自分自身の天然の歯が折れてしまった場合の、保証制度を設けている歯医者さんは、ほとんどないものと思われます。



セラミック矯正
スピード矯正
クイック矯正
にご注意下さい


もうひとつ、お伝えしたいことがあります。
このようなセラミッククラウンによる前歯の治療を「セラミック矯正」「スピード矯正」「クイック矯正」といった名称に置き換えておこなっている歯科医院を見かけます。


ほかの記事でもお伝えしているように、矯正治療というものはとても高額で、症状によっては100万円以上となる場合もあります。治療期間も長くなり、1年からそれ以上、加えて治療後同じくらいの時間をかけて、保定をおこなっていきます。

そこで一部の歯科医院では、リーズナブルな価格で、とても短い期間で前歯を矯正できるという触れ込みで、「セラミック矯正」「スピード矯正」「クイック矯正」を勧めているのです。しかしここまで読んでもらえればお分かりの通り、セラミッククラウンによるかぶせ物は、見た目の改善をおこなうものです。歯に力をかけて移動させるといった、矯正治療とはまったく違うものです。



すべての歯科医師が
医療倫理を考慮しているとは
限らないようです


歯科医療というものに詳しくない患者さんが、歯を矯正する治療と誤解をして受診してしまうこともあるでしょう。嘘を伝えて、矯正とは異なる行為をおこなう…。このような、医療倫理を持ち合わせていない歯科医師を、見かけることがあります。また、このような悪質な行為はいかがなものか?と、批判している歯科医師も多いようです。

こちらは、渋谷矯正歯科のHPです。声高におっしゃるのではなく、論理的な検証で、セラミック矯正への注意喚起を唱えていらっしゃいます。

確かに、前歯のすきっ歯の見た目を、少々改善できる場合はあるでしょう。しかし先ほど説明した通り、痛みを生じ、神経を抜けば、抜歯となるおそれがあります。

それ以前に、天然で健康な歯に手を加えてしまえば、2度と元に戻ることはありません。歯が抜けてしまっても、元には戻らないのです。見た目を改善したいという理由でセラミッククラウンを検討している場合でも、本当にそれでいいのか、じっくり考えるべきだと思っています。



【今週のスポットライト!】



電気ブランコ
またの名を、たいしゅん。
スマホンのアプリでシタールの音を出しながら、インドのシュルティボックスやダブルネック三線やカリンバを奏でながら、ホーミーまで重ねていく。
ライヴへ行ったら、広島東洋カープの今後などについて話しかけてみてほしい。
破顔で応えてくれるはずだ。


曽根己 晌圭(そねみ しょうけい)
お問合せ・ご意見・執筆依頼などは
shokei.sonemi@gmail.com まで…

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