マウスピースによる矯正




矯正治療というと、銀色のワイヤとブラケットを歯へ装着する印象がありますが、最近では、透明なマウスピースを歯へはめこんで矯正する治療も行なわれています。

透明なので、目立ちにくい。
食事や歯磨きの際に、外しやすい。

といった、大きなメリットがあります。ただし…実際に手に取ってみると、プラスチック製で、それほど固くなく、薄い事に驚きます。ワイヤとブラケットに比べ、歯を押す力はそれほどない事が分かります。

したがって歯医者さんによっては、軽度・中度の矯正にしか使えないと説明しています。歯並びがかなり悪い場合、強い力で大きく歯を移動させなくてはなりません。その場合は、従来のワイヤとブラケットを使った矯正でなければならない…と考える歯医者さんが、一定数いるようです。

歯を動かすにはスペースが必要

はじめに、矯正治療について重要な事のひとつをお伝えします。それは、多くの症例において、歯を動かすにはスペース(空間・すき間)が必要だという事です。

ご存じの通り、歯はとっても固いものです。骨と同様、伸び縮みするものではありません。なので、例えば出っ歯を無理やり押し込めても、歯はまた元の位置へ戻ってしまいます。3人掛けのベンチに4人座ろうとしても飛び出てしまう。その考えと同じです。

なので、あまり知られていないのですが、多くの場合矯正治療では、あまり使われていない歯を抜歯します。抜歯によって生まれたスペースの分だけ、歯は移動できるのです。よく抜歯で選ばれるのは、奥歯か、前から4番目に生えている第一小臼歯(しょうきゅうし)5番目に生えている第二小臼歯です。

食事で食べ物をかみ砕く際よく使われる歯は、奥歯と前歯です。第一・第二小臼歯は、あまりかみ砕きに参加していません。また、第一小臼歯と第二小臼歯はだいたい同じ役割を担っているので、どちらかを抜歯しても、どちらかが役割を担ってくれるといった特徴があります。

第一小臼歯を抜歯すると、7ミリから11ミリのスペースが生まれます。そこで、前歯・前から2番目の歯・前から3番目の歯をそのスペースに向けて移動させると、出っ歯が引っ込むことになるのです。

こちら…おかざき矯正歯科クリニックのHPをご覧下さい。写真を見ると、上の歯では第一小臼歯、下の歯では第二小臼歯を抜歯していますね。(また、抜歯をせずに矯正治療をおこなった写真も掲載されています。なるほど…僕にとっても非常に勉強になります) 



骨格が小さいという
東アジア人 の特徴

そんな事を言われても、やっぱり抜歯は怖い!健康な歯を抜くのは抵抗がある!という人は多いでしょう。そこで知っておいてほしいのは、欧米の人種(コーカソイド)と、東アジア人(モンゴロイド)の骨格の違いです。

コーカソイドは、身長も高く、骨格そのものが大きく、顔やあごも大きくできています。したがって、親知らずを含んだ上下合わせて32本の歯が、1列へきれいに並ぶスペースが十分あるのです。

しかしモンゴロイドの骨格は小さく、顔やあごも小さくできています。しかし歯の大きさはコーカソイドとそれほど変わりません。そこに32本の歯を並べようとしても、スペースの足りないケースが生じます。したがって、歯は前後にずれて生えてしまう。出っ歯などが生じる理由のひとつは、これなのです。したがって、第一小臼歯を抜歯すると、かえってその人のあごの大きさに合った歯の本数になる事もあると考えられています。

ディスキングって?

ここまで読めば「そうか…矯正するには抜歯が必要なんだなあ!」と分かってもらえたと思います。ワイヤとブラケットを使う矯正であれば、多くの場合抜歯をします。マウスピースによる矯正であっても、必要があれば抜歯をするはずなのですが、その代わりに、ディスキングをおこなうケースもあるようです。

歯と歯の間の部分を0.1ミリから0.6ミリほど薄く削り、スペースを生み出す事をディスキング、またはストリッピング、IPRとも呼びます。前歯と2番目の歯を0.6ミリずつディスキングすれば、前歯は1.2ミリ奥へ動かせる事になります。

多くの歯医者さんのHPで、ディスキングについての説明が記されています。一例として、笹木歯科クリニックと、江口矯正歯科クリニックを挙げておきますね。どちらの解説も、分かりやすいのではないでしょうか。


象牙質の露出に
ご注意下さい

歯は皮膚や筋肉や骨と違い、削ってしまえば元には戻りません。なので、象牙質まで深く削ってしまえば、冷たさなどの刺激が神経に伝わりやすくなります。

ただし、歯の表面はエナメル質で覆われ、象牙質を守っています。平均的なエナメル質の厚みは2ミリから3ミリとされています。なので、ディスキングしても象牙質まで削ることはなく、多くの場合痛みなどの刺激は生じないとされています。

ただし、上の前歯に関して言えば、エナメル質の厚みはおよそ0.93ミリであることが、九州大学の論文に記述されています。前から2番目の歯は約1.06ミリ、3番目の歯は約1.29ミリであり、しかも歯の中央部分と、歯茎との境目の部分では、エナメル質の厚みが異なってくる、その人の年齢によっても異なってくると書かれています。

「うちのディスキングは0.5ミリ程度だよ」と言っている歯医者さんであれば、エナメル質の約半分までを削ってしまうわけですが、象牙質まで削ってしまうという事ではなさそうです。

ちなみにさくら歯科のHPで、エナメル質や象牙質といった「歯と歯周組織の構造」を、とっても分かりやすく図にしてくれています。ぜひご覧下さい。

さて…。
歯医者さんによっては、手っ取り早く患者さんを誘引したいために「うちは抜歯しません、ディスキングもしません」と宣伝しているようです。医学的な説明を省き、リスクがない事を強調するわけですが、治療後に納得のいく歯並びとなるかどうか…?

残念な結果とならないよう、複数の歯医者さんに直接訪れ相談をしたうえで、ここだ!という歯医者さんを選んでから、治療を開始してみて下さいね。 


【今週のスポットライト!】



10月9日と言えば、我等がジョン・レノンと、チャボの誕生日。

中学生の頃聴いた、RCサクセション「ブルドッグ」。
そして「THE仲井戸麗市BOOK」をむさぼるように聴き、
「絵」渋公でのレコ発ライヴで、
このバンドマンを一生追いかけていくと、決心。

昔のチャボからは信じられない事なのだが、
先日六本木EXでのライヴ後、
即席サイン会がおこなわれたのだ。
51歳の爺になって遂に、
サインをいただき、
お喋りさせていただく事になるとは。
長生きするのも、悪くないもんだぜ。







曽根己 晌圭(そねみ しょうけい)
お問合せ・ご意見・執筆依頼などは
shokei.sonemi@gmail.com まで…

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