部分矯正できる歯は少ない

前歯など、歯の一部だけにマウスピース、もしくはワイヤとブラケットを装着する、部分矯正。治療費がリーズナブルになる、治療期間が短いといった特徴があります。

何しろ、矯正治療というものは、お金がかかります。治療期間も長いんです。60万円から100万円以上、2年から4年もしくはそれ以上となることもあります。
これに比べて部分矯正は、数万円、1年未満で済むとされています。経済的に余裕のない学生や20代の人からすれば、とてもありがたい治療方法です。

一例として、とても分かりやすくまとめている三橋矯正デンタルオフィスの価格表を取り上げてみます。部分矯正と全顎(がく)矯正の、価格の違いが判ります。

そこで、注意してほしい点を挙げてみます。

   下の歯を矯正しなくていいのか
   抜歯をしなくていいのか




上の歯だけでなく
下の歯も動かさないと
いけない場合があります

    について。
例えば出っ歯の場合、下の前歯が上の前歯を裏から押しているようであれば、下の歯も矯正しなければなりません。上の歯だけを奥へ移動させようとしても、下の歯が邪魔をしてしまうからです。

また、前歯で食事をする際、上の歯と下の歯がしっかりとかみ合い、食べ物をかみ砕くための調整が必要な場合もあります。そのためには、移動し終わった上の歯と、下の歯がかみ合うように、下の歯も矯正しなくてはなりません。




歯を動かすには
その分の
スペースが必要です


    について。
こちらの記事「マウスピースによる矯正」でも説明していますが、歯を動かすには、その分のスペースが必要となります。

歯は、知っての通り、とても硬いものです。骨と同じで、押しても引っこみませんし、伸び縮みもしません。したがって、前に出た歯を無理やり押し込んでも、また飛び出してしまいます。

なので、矯正治療では多くの場合、抜歯をします。前から4番目に生えている第一小臼歯(しょうきゅうし)、もしくは5番目にある第二小臼歯は、食事のかみ砕きにあまり参加していないので、このどちらかを抜歯する事が多いようです。

抜歯をすれば、1cm前後のスペース(すき間・空間)が生まれますよね。その分だけ、前歯・前から2番目の歯・前から3番目の歯をそれぞれ奥へ動かしていくのです。

その他、歯の側面を0.1mmから0.6mmほど削る事で、スペースを作る場合もあります。これを、ディスキングと呼んでいます。前歯から第一小臼歯までの4本をディスキングすれば、1cmとまではいきませんが、合計で5mmほどのスペースを作れるケースもあるでしょう。

こちらは、実際にディスキングをおこなっている写真です。伊藤歯科医院のブログ、かわさき歯科医院の歯科衛生士の方のブログです。

あなたが部分矯正をおこなう場合、抜歯もディスキングもしない歯医者さんであれば、疑問に思った方がいいでしょう。歯科医師は似たような質問を何度も訊かれた事があるでしょうから、もっともな回答をするかもしれません。しかし、それも疑ってみるべきだと思います。

ただし!
この話には、まだ続きがあります。




抜歯をすれば
後ろにある歯も
動いてしまう場合があります


第一小臼歯を抜歯した場合、その後ろにある第二小臼歯は、そこに生まれたスペースに向かって、前に動いてしまうケースがあります。その後ろにある奥歯までが少しずつ前へ動いてしまう恐れもあります。こんな事になると、全体の歯並びがおかしくなってしまいます。

そこで、第二小臼歯から奥歯までも、ワイヤとブラケットを装着し、歯並びがおかしくならないよう、調節する場合があるのです。こうなれば、部分矯正ではなくなります。



部分矯正は、全ての歯に装置を装着しないので、費用もリーズナブル、治療期間も短いとなれば、誰だって飛びついてしまいます。しかし、ここまで説明した通り、多くの矯正治療では、全ての歯に装置を装着します。歯医者さんによっては、部分矯正を扱っていない場合もあるほどです。

その証拠に…と書くと偉そうに聞こえてしまいますが、歯医者さんのHP(ホームページ)で部分矯正の欄を読むと、多くの場合文末に「症状によっては部分矯正をできない場合があるので、ご注意下さい」といった注意書きがあります。歯医者さんも、分かっているんです。 

冒頭にご紹介した三橋矯正デンタルオフィスのHPでも、「部分矯正のデメリット」という欄(ページの中盤です)で、しっかりと部分矯正できないケースを説明していますね。

逆に、患者さんが少なくて困っている歯医者さんは、お金欲しさから「うちは、リーズナブルで治療期間の短い『部分矯正』をやってます!」と宣伝しているケースがあります。全てがそんな歯医者さんではないのですが、ぜひ、気をつけて下さいね。


【今週のスポットライト!】



今さらですが、ぶっちぎりで格好いい。空間現代
今さらですが、「今週のスポットライト!」は、久米さんの声で脳内再生して下さい!



曽根己 晌圭(そねみ しょうけい)
お問合せ・ご意見・執筆依頼などは
shokei.sonemi@gmail.com まで…

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